「海辺の映画館ーキネマの玉手箱」
大林監督が20年ぶりに出身地である広島県尾道市で
メインロケを敢行、戦争や映画の歴史を辿るファンタジー劇。
尾道の海辺の映画館が閉館の日を迎え、日本の戦争映画大特集の
オールナイト興行を見ていた3人の若者が
スクリーンの世界へ
タイムリープする。(キネマ旬報からの抜粋)
78点
ボクの好きな大林作品は、余り大林流の
スパイスのきつい作品より、
ソフトな方が僕的には受け付けるのですが、・・・・・・・。(実験映画と商業映画の中間(笑))。
違う、違う、
思い出しました。記憶が、サーッと浮かび上がりました。
そうだ、そうだ!
大林監督の劇場第1作「HOUSEハウス」を観た時と
同じ気持ちに戻りました。(併映は山口百恵の「泥だらけの純情」)
あの頃、自主上映とCFディレクターという今までにない肩書で、
時代の先駆者という触れ込みでした。
いかにも実験映画という感じで、少し戸惑ったのを覚えているというか、
それが、鮮明によみがえりました。
そうです、大林監督の真骨頂は、
あの私が好きな”尾道三部作”ではなく、
これこそが、監督の面目躍如の作品だと思います。
だから、この映画は、本当に大林色に染まった作品だと思います。
ファンタジーに実験を加え、
メッセージ性の強い、作家性の高い作品だからこそ、この作品が
各評論家に、大絶賛されているのもうなずけます。
だから、今から私が述べるのは、この映画は映画としては、見るべきものも多く
優れていると思いますが、
アクマで、一個人としての、この映画のメッセージテーマに対しての感想です。
前半は近代史の日本人同士の殺し合い、後半は現代史の日本人が殺し殺される場面の連続。
挙句の果ては、日本人が大虐殺されるラスト。
このブログでも、ちょくちょく書いてはおりますが、
やはりこの描き方は、少し違和感を感じます。
戦争は狂気だとは解かりますが、
どちらがいい悪いはないと思います。
原爆を落としたB-29エノラ・ゲイ号の白人乗組員たちは、(黒人はいません)
全く、もう一回言ってもいいぐらい,全く、罪の意識はないそうです。
早く戦争を終わらせたとか、お互いの国の被害者が少なくて済んだとか、命令だから仕方がないとか、ソ連の赤の恐怖が迫っていたとか、パールハーバーの仇とか、
日本が原爆を持っていたら同じことをするだろうとか、・・・・・・・。そして、
乗組員たちどころか、多くの(白人)米国民が、そう思っているそうです。
あの時代でも、非戦闘員、いわゆる一般市民に攻撃してはいけないという国際法があるにも関わらず、
14万人の人たちを即死させ、後に計30万人の人たちが亡くなっています。
しかも、3日後に長崎にも落としています。広島への影響被害はわかっていたはずです。それどころか、
広島と長崎の原爆の種類は違うそうです。
明らかに、実験です!
その後、乗組員たちは全員、長生きし、裕福な生活を満喫したそうです。
誰も、バチが当たらなかったみたいですね(苦笑い)。
米国以外の外国人は、広島を訪れて、現実に触れた時、”なぜ日本人は復讐しないのか?怒らないのか”と言うそうです。
(まあ、徹底的に叩かれましたし、戦後教育や、金など援助も受けていますし、安保もありますし)
でも、
やはり、亡くなった方は国の犠牲者なのか、それでは浮かばれないだろう、みんなを守ったのだ、その人たちを忘れるな、か、
天皇の責任か、
いや、アジアを米英などの植民地侵略を,最終的に防いだのだとか、
いやいや、やはり、白人の差別主義だよね、人種差別ですよ、とか。
宗教、貧富、教育など。
監督も、各論じゃあなく、総論で考えろとおっしゃるのもよく解ります。
もう一度書きますが、この作品は本当に
自主映画、実験映画の代表だった監督の集大成の作品であり、
また、その思いや情報のあふれた作品、
よくできていると思います。大林哲学フィロソフィーの塊みたいな作品でした。
僕の意見は、アクマで、個人の感想です。
確かに、監督が言うように、今の日本、いや、世界は資本主義、金が絡んだスクラップ、アンドビルドの繰り返し。
正義ではなく、人は正気であれ。
負けた国だから、反戦が判る。
ただ、僕は日本人の多くは、よく解っていると思うし、他国はどうよと。
だから、日本人が、反省したり、過ちを繰り返すのを恐れるのじゃあなくて、このことを、
もっと世界に。
国ではなく、各個人、人として発信すべきだと思う。
そうじゃないと、監督が言うように、人は、国に流されるでしょう。
コロナウイルスもそうだけど、自分で判断しないと。
国には頼れません。
ただ、国は社会的な弱者には手を差し伸べてほしいと思います。
何度も書きましたが、僕は右でも左でもないつもりです。バランスをとっているつもりです。
理想は持ちますが、現実を踏まえているとも思います(笑)。
感謝の心を持っているのも日本人。有名な話ですが、他国には、もったいないという言葉がないそうですが、
大陸的な考えとの違いでしょうか。
最後にもう一度、
大林監督、有難うございました。