この世界の片隅に

 

「この世界の片隅に」

第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞に輝いた こうの史代原作の漫画を

アニメ映画化。昭和19年、軍港のある広島・呉に嫁入りした18歳のすず。

戦況が悪化し大切なものが奪われていくが、彼女は前を向き

日々の暮らしを愛おしみながら生きていく。(キネマ旬報からの抜粋)

 

「湯を沸かすほどの熱い愛」と 続けて2本観たのは、失敗でした。(笑)

 

同じような、市井の人々を扱った作品。

「湯を沸かすほどの熱い愛」は泣けて泣けてしかたなかった作品でしたが、

この映画は、あとから じんわりきて、涙する作品でした。

こんな秀作を 同じ日に観たら だめですよね。(笑)  81点

 

のん(能年玲奈)ちゃんは、評判通りに、この子意外に考えられないくらいの適役。

もっと、もっといろんな作品に出て、楽しまして欲しいと思うぐらいの、

素晴らしい表現力の才能。

原作は、御存じ「夕凪の街 桜の国」の こうの史代さん。

実写版「夕凪の街 桜の国」も 秀作でしたが、

今回は 原作の漫画のタッチがそこなわれていないどころか、

素晴らしすぎる出来のアニメ化です。

実際、観終わった後は、実写での方が良かったかな、アニメの限界かなとも思ったのですが、

じわじわ後から後から効いてきました(笑)。

 

絵が ほんわかし、ユーモアあふれる展開。

だから、実感に乏しく、いろんな意味で、きれいすぎるのが、

難点かなとも思ったのですが、

でもアニメだから、子供に観てもらいたいですよね。

そして、アニメにしか出来ない表現方法がちりばめられてあり、

日本人は観ておくべき映画でもあり、

後世まで残すべきアニメの作品になっていると思います。

 

広島は、私にとっても大きな意味を持ち、縁のある街。

 

普通と言うことの大切さ。

戦争のない日常生活。

普通の生活の市井の人々の生きる姿の なんと美しい事か。

このタイトルを かみしめよう。

 

冒頭に流れる”悲しくてやりきれない”の唄。

 

”胸に しみる空の輝き、今日も遠くはなれ 涙を流す~

悲しくて悲しくて、とてもやりきれない~”

 

絵の好きな普通の女性に起こる 残酷な現実。

静かな反戦映画の傑作です。