「怒り」
「悪人」の吉田修一原作小説を李相日が再びメガホンをとった群像ミステリー。東京の
八王子で主婦が惨殺されてから1年、犯人は顔を整形して いまだ逃避を続けていた。
千葉・東京・沖縄で前歴不詳の男と出会った人々は苦しみながらも彼らに対して
不信を抱く。(キネマ旬報からの抜粋)
見応え十分の作品です。前評判通りの今年を代表する一本だと思います。
まず、脚本が優れていると思ったのは、一歩間違えると、単に3本の映画を くっ付けただけの
印象を与えかねない様な作品を きわきわに最後の高みに持って行った素晴らしさ。
もちろん、演出と出演陣の がんばりも、見過ごせません。(撮影と美術も良かったです)。
ただ、豪華配役のなかには、この人でなくても、と思った人もいましたが、
みなさん、大熱演でした。
特に、私は、宮崎あおいさんの新境地を開いたような演技には感服いたしました。
す、すごい。(まだ、本年も半ばですが、今年も 黒木華さんと宮崎あおいさんの
演技は楽しませてもらっています。)
最期は、この展開で どうつながるのかなあとも思って、観ていました。
「フラガール」も良かったけど、犯人探しにとらわれることもないような、
李監督の演出はさすがです。小さな幸福というのもテーマのひとつだったみたいですが、
劇中のセリフのひとつ、「まさかだけど、自分の娘が幸せになれるわけがないとか
思ってない?」 胸に、グッーときて、涙した人も多いんではないでしょうか。
題名の「怒り」。それぞれ、観た人が いろんな思いを持つ作品になったと思います。
81点